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「解体業者からマニフェストという書類の話をされたけど、一体何のことだろう?」
「なんだか難しそうだし、業者に任せきりで大丈夫かな…」
解体工事を初めて依頼する方にとって、「マニフェスト」は聞き慣れない言葉かもしれません。しかし、これは解体工事で出た廃棄物が正しく処理されたことを証明する、非常に重要な書類です。
万が一、不適切な処理が行われると、工事を依頼したあなた(施主)が法律違反に問われる可能性もあります。
この記事では、解体工事の「マニフェスト」とは何か、施主として知っておくべき義務や伝票の流れ、費用について、専門知識がない方にも分かりやすく解説します。最後まで読めば、マニフェストに関する不安が解消され、安心して工事を任せられるようになります。
解体工事のマニフェストとは
まずは、マニフェストがどのようなものなのか、その基本から見ていきましょう。マニフェストは、あなたの建物を解体した際に出る廃棄物が、環境に害を与えないよう適正に処理されるための大切な仕組みです。
産業廃棄物管理票のこと
マニフェストとは、正式名称を「産業廃棄物管理票」といいます。
これは、解体工事などで発生した産業廃棄物の処理を業者に委託する際に、排出事業者(工事の依頼主)が発行する伝票のことです。この伝票によって、廃棄物がいつ、誰によって運ばれ、どこで、どのように処理されたかという一連の流れを記録・管理します。
不法投棄を防ぐための制度
マニフェスト制度の最も大きな目的は、産業廃棄物の不法投棄を防ぐことです。
もし、解体工事で出た木くずやコンクリートがら、廃プラスチックなどが山林や空き地に不法投棄されたら、環境汚染や景観の悪化につながります。
マニフェストがあることで、廃棄物が最終処分場まで確実に届けられたことを最後まで追跡・確認できるため、業者による不正行為を未然に防ぐ効果があります。これは、施主であるあなた自身をトラブルから守るための仕組みでもあるのです。
廃棄物処理法で定められた発行義務
マニフェストの発行と運用は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」によって厳しく定められた義務です。
産業廃棄物を排出する事業者は、必ずマニフェストを交付し、廃棄物の処理を委託しなければなりません。このルールを守らないと、厳しい罰則が科される可能性があります。
(参考:環境省「マニフェスト制度の概要」)
施主(排出事業者)の義務と責任
「業者がやることだから、自分には関係ないのでは?」と思うかもしれませんが、それは大きな間違いです。法律上、施主には重要な義務と責任があります。
排出事業者は工事の依頼主(施主)
廃棄物処理法において、廃棄物を出す事業者のことを「排出事業者」と呼びます。
解体工事の場合、実際に作業を行うのは解体業者ですが、その工事を依頼し、廃棄物を発生させる原因を作った「施主(あなた)」が排出事業者となります。そのため、マニフェストに関する最終的な責任は、施主が負うことを理解しておく必要があります。
違反した場合の罰則(懲役または罰金)
もし、マニフェストを交付しなかったり、虚偽の記載をしたりするなど、法律に違反した場合には、排出事業者である施主にも罰則が科されることがあります。
罰則は非常に重く、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。悪質な業者に依頼してしまった結果、施主が罰せられるケースもゼロではありません。自分の身を守るためにも、マニフェストの重要性を正しく認識しましょう。
(参考:e-Gov法令検索「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」第二十五条)
E票の受け取りと5年間の保管義務
施主(排出事業者)にとって最も重要な義務が、最終処分が完了したことを示す「E票」を受け取り、それを5年間保管することです。
すべての処理が終わった証明であるE票が手元に戻ってきて、初めて施主の責任が果たされたことになります。このE票は、万が一の際に適正処理を証明する重要な証拠となるため、大切に保管してください。
マニフェスト伝票の流れ(A票~E票)
紙マニフェストは、A票からE票まで7枚(または8枚)綴りの複写式伝票で構成されています。廃棄物が処理されていく過程で、各票が関係者間を行き来します。ここでは、施主(排出事業者)の元にどのタイミングでどの票が戻ってくるのか、その流れを解説します。
A票:交付時に受け取る排出事業者の控え
- 役割
マニフェストを交付した証明となる、排出事業者用の控えです。 - 受け取るタイミング
解体業者が廃棄物を搬出する際に、必要事項を記入したマニフェスト一式の中からA票を切り離して施主に渡します。通常は、解体業者が施主の代わりに受け取り、後日他の書類と一緒に渡されることが多いです。
B2票:収集運搬完了後に届く控え
- 役割
収集運搬業者が、廃棄物を中間処理施設まで運び終えたことを証明する控えです。 - 受け取るタイミング
運搬完了日から原則10日以内に、収集運搬業者から排出事業者(施主)へ送付されます。
D票:中間処理完了後に届く控え
- 役割
中間処理業者(破砕や焼却などを行う業者)が、委託された廃棄物の処理を終えたことを証明する控えです。 - 受け取るタイミング
中間処理完了日から原則10日以内に、中間処理業者から排出事業者(施主)へ送付されます。
E票:最終処分完了後に届く控え
- 役割
廃棄物が最終処分場(埋立地など)で適切に処分されたことを証明する、最も重要な控えです。 - 受け取るタイミング
最終処分完了日から原則10日以内に、最終処分業者から排出事業者(施主)へ送付されます。すべての処理が完了した証であり、このE票を5年間保管する義務があります。
マニフェストの発行費用
マニフェストの発行には費用がかかります。誰が負担し、どのくらいの金額がかかるのかを知っておきましょう。
費用は排出事業者が負担する
マニフェストの発行にかかる費用は、原則として排出事業者である施主が負担します。
ただし、施主が直接購入するケースは稀で、ほとんどの場合は解体業者が立て替え、工事費用の内訳「諸経費」などに含めて請求されます。見積書に「マニフェスト発行費用」といった項目があるか確認してみましょう。
紙マニフェストの料金相場
紙マニフェストの料金は、販売している団体によって異なりますが、一般的な相場は以下の通りです。
- 料金相場
1部あたり数十円~200円程度
廃棄物の種類や量によって必要なマニフェストの部数が変わるため、総額は工事の規模によって変動します。
電子マニフェストの料金体系
近年普及が進んでいる電子マニフェストは、紙とは料金体系が異なります。
- 料金体系
多くの場合、初期の加入料と年会費(基本料金)に加え、マニフェストを1件登録するごとに使用料がかかる仕組みです。料金は運営組織(JWNET)によって定められています。
紙の購入費用や郵送代、保管スペースが不要になるため、トータルコストでは電子マニフェストの方が安くなる場合もあります。
(参考:公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター JWNET)
アスベストを含む解体工事の場合
古い建物の解体では、アスベスト(石綿)が含まれている可能性があります。アスベストは特別な扱いが必要なため、マニフェストも通常とは異なります。
特別管理産業廃棄物としての扱い
アスベスト(石綿)は、人の健康に有害な影響を及ぼす恐れがあるため、「特別管理産業廃棄物」に指定されています。
そのため、通常よりもさらに厳格な管理が求められ、マニフェストも特別管理産業廃棄物専用のものを使用する必要があります。
通常のマニフェストとの記載内容の違い
特別管理産業廃棄物用のマニフェストは、通常の産業廃棄物用マニフェストと様式が異なります。
アスベストの種類(飛散性、非飛散性など)や荷姿といった、より詳細な情報を記載する欄が設けられています。解体する建物にアスベストが含まれている場合は、業者が適切に専用マニフェストを使用しているか確認することが大切です。
解体工事マニフェストのよくある質問
最後に、施主の方からよく寄せられるマニフェストに関する質問にお答えします。
Q.業者に任せきりで大丈夫?
A. いいえ、任せきりにするのは危険です。
多くの手続きは業者が代行してくれますが、法律上の責任は排出事業者である施主にあります。悪質な業者は、マニフェストを発行せずに不法投棄を行ったり、偽造したマニフェストを渡したりする可能性もゼロではありません。
少なくとも、工事完了後にB2票、D票、E票がきちんと返送されてきたかを確認し、E票を5年間保管するという最低限の義務は必ず果たしましょう。信頼できる優良な業者を選ぶことが、何よりも重要です。
Q.E票が期限内に返ってこない場合は?
A. まずは解体業者に状況を確認してください。
法律では、マニフェスト交付日から180日(中間処理を経由する場合)以内にE票が返送されない場合、排出事業者は状況を把握し、適切な措置を講じた上で、都道府県知事等に報告する義務があります。
まずは「E票がまだ届かないのですが、処理は完了していますか?」と業者に問い合わせましょう。それでも返送されない、あるいは業者の対応に不審な点がある場合は、工事現場を管轄する都道府県や市の産業廃棄物担当部署に相談してください。
Q.電子マニフェストとは?紙との違い
A. 電子マニフェストとは、マニフェスト情報をインターネット上で管理する仕組みです。
紙の伝票の代わりに、排出事業者、収集運搬業者、処分業者の3者が情報処理センター(JWNET)を介して情報の登録や報告を行います。
- 電子マニフェストのメリット
- 事務処理の効率化
PCやスマートフォンで簡単に登録・報告ができ、伝票の郵送や手作業での管理が不要になります。 - 法令遵守の徹底
入力必須項目が定められているため、記載漏れを防げます。また、処理終了報告の期限が近づくとアラートが通知されます。 - データの透明性
情報の改ざんが難しく、処理状況をリアルタイムで確認できるため、透明性が向上します。 - 保管が不要
紙の伝票のように5年間保管する必要がありません。データは情報処理センターで保管されます。
- 事務処理の効率化
近年は電子マニフェストを導入する業者が増えており、施主にとっても管理の手間が省ける便利な仕組みです。
まとめ
今回は、解体工事におけるマニフェストについて解説しました。最後に、この記事の重要なポイントを振り返りましょう。
- マニフェストは不法投棄を防ぎ、廃棄物の適正処理を証明する重要な伝票
- 工事を依頼した施主が「排出事業者」として法律上の責任を負う
- 最も重要な義務は、最終処分完了の証明である「E票」を受け取り、5年間保管すること
- 業者に任せきりにせず、伝票がきちんと返送されるかを確認することが大切
マニフェストは、一見すると複雑で難しい制度に感じるかもしれません。しかし、その目的は、私たちの環境と、施主であるあなた自身をトラブルから守るためのものです。
この記事で解説したポイントを押さえておけば、何も恐れることはありません。安心して解体工事を進めるために、まずは信頼できる優良な解体業者を見つけることから始めましょう。
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