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長屋解体の全て|切り離し費用・隣人同意・トラブル回避策

「親から相続した長屋が古くて危ない…」「自分の家だけ建て替えたいけど、隣と壁が繋がっている…」

このようなお悩みをお持ちではありませんか?
長屋は複数の住戸が壁を共有している特殊な構造のため、解体しようにも「そもそも自分の部分だけ壊せるの?」「隣人トラブルにならないか心配」「費用は一体いくらかかるの?」といった不安が尽きないものです。

この記事では、長屋の解体を検討しているあなたが抱えるあらゆる疑問や不安を解消します。
長屋解体の基本である「切り離し工事」の具体的な方法から、気になる費用相場、最も重要な隣人との同意形成、法律上の注意点まで、専門家が徹底的に解説します。

最後まで読めば、複雑で難しいと感じていた長屋解体の全体像が明確になり、トラブルなくスムーズに進めるための具体的なステップが分かります。

長屋は解体可能?切り離し工事の基本

長屋の解体を考える上で、最初の疑問は「自分の所有部分だけを解体できるのか」という点でしょう。ここでは、長屋解体の核となる「切り離し工事」の基本について解説します。

所有部分のみの解体(切り離し)は可能か

結論から言うと、長屋の一部、つまりご自身の所有部分のみを解体(切り離し)することは可能です。しかし、一般的な戸建ての解体とは異なり、いくつかの重要な条件と手順を踏む必要があります。

最も重要なのは、建物の登記状況を確認することです。長屋は「各戸が独立して登記されている場合」と、建物全体が「共有名義」または「区分所有建物」として登記されている場合があります。

  • 各戸が独立している場合
    法的には所有者の判断で解体できますが、物理的に壁が繋がっているため、隣人の協力なしに進めることは現実的ではありません。
  • 共有名義の場合
    民法の規定により、共有者全員の同意がなければ解体はできません。
  • 区分所有建物の場合
    区分所有法が適用されます。大規模な変更には他の所有者の同意が必要となるため、事実上、隣人の同意は不可欠です。

いずれのケースでも、隣人との良好な関係と事前の合意形成が、長屋解体を成功させる最大の鍵となります。

切り離し工事の具体的な工法

長屋の解体で最も特殊で重要なのが、隣家と接している壁を切り離す「切り離し工事(縁切り工事とも呼ばれます)」です。この工事の精度が、後のトラブルを防ぐ上で極めて重要になります。

切り離し工事は、主に以下の手順で慎重に進められます。

  1. 内装の解体
    まず、解体する側の住戸の内部(壁、床、天井など)を解体し、構造躯体(柱や梁)を露出させます。
  2. 屋根の切り離し
    隣家と繋がっている屋根材を丁寧に取り除き、境界線で切断します。
  3. 壁・梁・柱の切断
    共有している壁(界壁)や、繋がっている梁などを、隣家に振動やダメージを与えないよう慎重に切断します。この際、手作業(手壊し)が中心となることが多く、高度な技術が求められます。
  4. 基礎の切断
    建物の土台である基礎も、専用のカッターなどを使って隣家と切り離します。

切り離し工事は、長屋解体の実績が豊富な専門業者に依頼することが不可欠です。経験の浅い業者が行うと、隣家にひび割れや損傷を与えてしまうリスクが高まります。

切り離し後の壁の補修と費用負担

切り離し工事が終わると、これまで内壁だった隣家の壁が外壁として露出することになります。この壁は風雨に耐えられる防水性や耐久性を持っていないため、新たに外壁を設置する補修工事が必須です。

壁の補修方法

一般的には、露出した壁に防水シートを貼り、その上からガルバリウム鋼板やサイディングボードなどの外壁材を設置します。これにより、隣家の安全と資産価値を守ります。

費用負担の原則

壁の補修費用は、原則として解体を依頼した側が全額負担します。この費用負担については、工事を始める前に必ず隣人と書面で合意しておく必要があります。費用の目安は壁の面積や使用する材料によって異なりますが、50万円~100万円程度かかるのが一般的です。

長屋解体の費用相場と内訳

長屋の解体は、通常の戸建て解体費用に加え、特殊な工事費がかかるため割高になる傾向があります。ここでは、費用の全体像と内訳を詳しく見ていきましょう。

解体費用の総額相場と坪単価

長屋の解体費用は、立地条件や建物の構造、規模によって大きく変動しますが、総額で150万円~300万円程度が一般的な相場です。

費用の目安となる坪単価は以下の通りです。

  • 木造長屋の坪単価
    4万円~6万円
  • 鉄骨造長屋の坪単価
    6万円~8万円

例えば、20坪の木造長屋であれば、「20坪 × 5万円/坪 = 100万円」が本体解体費の目安となり、これに後述する切り離し工事費や付帯工事費が加わります。

費用内訳①:本体解体工事費

これは建物の構造部分(木材、鉄骨など)を取り壊すための基本的な費用です。上記の坪単価 × 延床面積で計算されます。重機が入りにくい狭い場所では、手壊しの割合が増えるため費用が割高になることがあります。

費用内訳②:切り離し・壁補修工事費

長屋解体特有の費用であり、最も変動が大きい部分です。

  • 切り離し工事費
    隣家を傷つけないよう慎重に行う手作業が中心となるため、30万円~80万円程度が目安です。
  • 壁補修工事費
    切り離し後に隣家の壁を保護するための外壁設置費用です。面積や材料によりますが、50万円~100万円程度を見ておくとよいでしょう。

これらの費用は、事前に業者と隣人とで内容と金額を明確に合意しておくことがトラブル回避の鍵です。

費用内訳③:付帯工事費・諸経費

本体解体以外にも、以下のような費用が発生します。見積もりに含まれているか必ず確認しましょう。

  • 残置物撤去費
    家の中に残された家具や家電などの処分費用。5万円~20万円程度。
  • アスベスト調査・除去費
    一定規模以上の解体ではアスベスト調査が義務付けられています。調査費用は5万円~10万円程度、除去が必要な場合は数十万円以上かかることもあります。
  • 外構撤去費
    ブロック塀、門、庭木、カーポートなどの撤去費用。
  • 重機回送費
    解体用の重機を現場まで運搬する費用。
  • 諸経費
    行政への届出代行費用、近隣挨拶の粗品代、駐車場代など。

解体費用を安く抑える具体的な方法

高額になりがちな長屋の解体費用ですが、工夫次第で抑えることが可能です。

  • 複数の業者から相見積もりを取る
    必ず3社以上の解体業者から見積もりを取りましょう。費用だけでなく、工事内容や担当者の対応を比較検討することが重要です。特に長屋解体の実績が豊富かを確認してください。
  • 自治体の補助金・助成金制度を活用する
    老朽化した空き家の解体に対して、費用の一部を補助する制度を設けている自治体があります。「(お住まいの市区町村名) 空き家 解体 補助金」などで検索し、お住まいの自治体に問い合わせてみましょう。
  • 家の中の残置物は自分で処分する
    家具や家電、不用品を事前に自分で片付けておくだけで、残置物撤去費用を大幅に節約できます。

隣人同意と法律トラブル回避策

長屋解体で最も神経を使い、トラブルの原因となりやすいのが隣人との関係です。ここでは、法的な側面と円滑なコミュニケーションのポイントを解説します。

隣人の同意は法的に必須か

結論として、法律上の義務の有無にかかわらず、隣人の同意は事実上必須と考えるべきです。同意なしに工事を強行すれば、工事の中止を求められたり、損害賠償請求に発展したりと、深刻なトラブルになる可能性が非常に高いです。

法的な観点では、建物の登記状況によって異なります。

  • 各戸が独立登記の場合
    法律上は、自分の所有物を処分するのに他人の同意は不要です。しかし、壁を共有している以上、物理的に影響が及ぶため、同意なしの工事は現実的ではありません。
  • 区分所有建物の場合
    区分所有法」が適用されます。建物の解体(共用部分の重大な変更)には、原則として区分所有者全員の同意が必要です。
  • 共有名義の場合
    民法の規定により、共有者全員の同意がなければ共有物の変更・処分はできません。

どのケースであっても、円満な解体のためには隣人への誠実な説明と合意形成が不可欠です。

同意を得るための説明のポイント

隣人に解体の話をする際は、感情的にならず、計画的に、そして誠意をもって臨むことが大切です。以下のポイントを押さえて説明しましょう。

  • 解体を決意した理由を丁寧に伝える
    「老朽化で倒壊が心配」「空き家の管理が難しい」など、なぜ解体が必要なのかを正直に話しましょう。
  • 工事の安全性について具体的に説明する
    「長屋解体の実績が豊富な業者に依頼する」「工事前には建物の状態を調査してもらう」など、隣家の安全に最大限配慮する姿勢を示します。
  • 切り離し後の壁の補修計画を明確に提示する
    「壁の補修は、こちらの費用負担で責任をもって行います」「どのような材料で、どのように補修するのか」を図やカタログを見せながら説明すると、相手の不安を和らげることができます。
  • 解体業者に同席してもらう
    専門家である解体業者の担当者から直接、工事内容や安全対策について説明してもらうと、より説得力が増し、安心感を与えられます。

解体工事同意書の雛形と記載例

口約束だけでなく、必ず書面で「解体工事同意書」を取り交わしましょう。これにより、後の「言った・言わない」トラブルを防ぐことができます。同意書に決まった形式はありませんが、以下の項目は必ず盛り込むようにしてください。

同意書に記載すべき必須項目

  • 工事の対象となる建物
    住所、家屋番号などで建物を特定します。
  • 工事の概要
    解体工事および切り離し工事、壁の補修工事の内容を記載します。
  • 工事期間
    予定される工事の開始日と終了日を明記します。
  • 費用負担の範囲
    切り離し工事費や壁の補修工事費をどちらが負担するのかを明確にします。(通常は解体依頼主が負担)
  • 壁の補修方法
    使用する外壁材の種類や色、工法などを具体的に記載します。
  • 損害発生時の対応
    万が一、工事によって隣家に損害が生じた場合の補修や賠償について定めます。(工事業者が加入する損害賠償保険で対応するのが一般的です)
  • 署名・捺印
    解体依頼主と隣人、双方の住所・氏名を記載し、署名・捺印します。

弁護士や行政書士に作成を依頼すると、より確実な同意書を作成できます。

長屋解体に関わる法律(区分所有法など)

長屋の解体には、主に以下の法律が関係します。

  • 区分所有法
    分譲マンションのように、一棟の建物を複数の所有者で分けて所有している場合に適用される法律です。共用部分の変更には、他の所有者の同意が必要と定められています。
  • 建築基準法
    建物を建てる際のルールを定めた法律です。特に解体後の土地に再建築を考えている場合、接道義務(敷地が幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならない)を満たしていないと、家を建てられない可能性があります。
  • 民法
    相隣関係(隣人との権利関係)や共有物に関するルールが定められています。工事の騒音や振動で迷惑をかけない配慮義務などが該当します。

これらの法律をすべて理解する必要はありませんが、自分の長屋がどの法律の対象になるのか、信頼できる解体業者や専門家に確認しておくことが重要です。

よくある隣人トラブル事例と予防策

騒音・振動・粉塵

  • トラブル例
    「工事の音がうるさくて眠れない」「洗濯物が干せない」といったクレーム。
  • 予防策
    工事前に工程表を渡して作業時間を伝え、防音シートや散水で対策を徹底することを約束する。

隣家への損壊

  • トラブル例
    切り離し工事中に壁にひびが入った、屋根を傷つけられた。
  • 予防策
    工事前に業者と一緒に隣家の現状を写真で記録しておく(家屋調査)。業者が損害賠償保険に加入しているか確認する。

費用負担の揉め事

  • トラブル例
    壁の補修費用を後から請求された、聞いていた金額より高くなった。
  • 予防策
    必ず工事前に書面(同意書・見積書)で費用負担の範囲と金額を明確に合意しておく。

業者選びから完了までの解体全手順

長屋解体の全体像を把握するために、計画から完了までの流れを確認しておきましょう。

手順1:事前調査と計画立案

まずは法務局で建物の登記情報を確認し、所有形態(独立、共有、区分所有)を把握します。その上で、解体後の土地利用(売却、駐車場、再建築など)を考え、隣人への説明内容を準備します。

手順2:信頼できる業者の選び方と相見積もり

長屋解体の成功は、業者選びで9割決まると言っても過言ではありません。以下のポイントで業者を選びましょう。

  • 長屋や連棟住宅の解体・切り離し工事の実績が豊富か
  • 建設業許可や解体工事業登録を持っている正規の業者か
  • 損害賠償保険に加入しているか
  • 見積書の内訳が詳細で分かりやすいか
  • 担当者の説明が丁寧で、こちらの不安に寄り添ってくれるか

必ず3社以上から相見積もりを取り、費用とサービス内容を比較して、最も信頼できる1社を選びます。

手順3:近隣挨拶と行政への届出

業者と契約したら、工事開始の1週間~10日前までに、業者と一緒に隣人や近隣住民へ挨拶に回ります。工事内容や期間を説明し、理解を求めましょう。
また、延床面積80㎡以上の建物を解体する場合は、建設リサイクル法に基づく届出が必要です。これは通常、業者が代行してくれます。

手順4:解体・切り離し工事の実施

足場と養生シートを設置し、近隣への影響を最小限に抑えながら工事を進めます。騒音や振動が発生する作業の前には、改めて隣人に声をかけるなどの配慮が大切です。

手順5:建物滅失登記などの事後手続き

工事が完了し、建物がなくなった後は、1ヶ月以内に法務局で「建物滅失登記」を申請する義務があります。これを怠ると10万円以下の過料に処される可能性があるため、忘れずに行いましょう。土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。

長屋解体に関するよくある質問

解体せずに建て替えはできるか?

長屋の一部を切り離して建て替えることは、法律上非常に難しいケースが多いです。特に、建築基準法の「接道義務」を満たせない場合、新たな建物を建てることが許可されません。また、連棟している他の住戸の耐震性などに影響を与える可能性もあり、行政や隣人からの同意を得るハードルは解体よりもさらに高くなります。まずは解体して更地にすることを前提に検討するのが現実的です。

家と家の間が狭い場合の解体方法?

隣家との隙間がほとんどない長屋の場合、重機を使えないため「手壊し」による解体が中心となります。手壊しは時間と手間がかかるため、重機を使う解体に比べて費用が割高になる傾向があります。見積もりの際に、現場の状況をしっかり確認してもらうことが重要です。

アスベスト含有調査の必要性?

2022年4月から、一定規模以上の建物の解体工事において、アスベスト(石綿)含有の有無を調べる事前調査が義務化されました。多くの古い長屋では、屋根材や壁材にアスベストが含まれている可能性があります。調査の結果、アスベストが見つかった場合は、専門の業者による除去作業が必要となり、別途費用が発生します。

まとめ

長屋の解体は、一般的な戸建ての解体とは異なり、「切り離し工事」という特殊な技術と、「隣人との合意形成」という非常にデリケートなプロセスが伴います。

この記事で解説した重要なポイントを改めてまとめます。

  • 長屋の切り離し解体は可能だが、隣人の同意が事実上必須。
  • 解体費用は総額150万円~300万円が相場。本体解体費に加え、切り離し・壁補修費がかかる。
  • トラブル回避の鍵は、工事前に「解体工事同意書」を書面で取り交わすこと。
  • 業者選びが最も重要。長屋解体の実績が豊富な業者に相見積もりを依頼する。

複雑に感じるかもしれませんが、一つひとつのステップを丁寧に進め、誠意をもって隣人と向き合えば、必ず道は開けます。
まずは、この記事を参考に、信頼できる解体業者を探して相談することから始めてみましょう。専門家のアドバイスが、あなたの不安を解消し、計画を具体的に進めるための大きな助けとなるはずです。