アスベスト解体は義務？調査・除去費用の目安や近隣対策を解説

自宅や店舗を解体するときに必要だと言われている「アスベストの調査および解体」について、自身に関係のある工事なのか気になっている人も多いでしょう。

そこでこの記事では、アスベスト解体の概要や必要性についてわかりやすく解説します。また、調査・解体にかかる費用の目安や、解体業者に依頼する手順も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

アスベスト解体とは

アスベスト解体とは、アスベスト（石綿）と呼ばれる建材を取り除く工事のことです。主に、建物を壊す解体工事の前準備として、アスベスト調査を実施し、建物にアスベストが使用されていると判明した際には、適切な方法で建材を除去しなければなりません。

また、アスベストは1970～1990年代にかけて建てられた一軒家・ビル・店舗などに使用されているケースが多い傾向です。参考として以下に、アスベスト解体の事前調査が必要な建物を整理しました。

• 床面積の合計が80 ㎡以上の建築物の解体工事
• 請負代金の合計額100万円以上（税込）の建築物の改修工事
• 請負代金の合計額100万円以上（税込）の工作物の解体・改修工事
• 鋼製の船舶の解体または改修工事
• 総t数が20t以上の建物

ちなみに上記条件にあてはまった場合には、まず事前調査を実施します。その後、事前調査でアスベストがあると判明した際には、アスベスト解体に着手するのが一般的です。

また築年数30～60年経つ建物は、アスベストが使用されている可能性が高いです。解体工事に合わせてアスベスト調査・解体が必要になるかもしれないと覚えておきましょう。

アスベスト解体は国に定められた義務

「アスベスト解体なんてしなくてもいいのではないか」と思われがちですが、この解体は環境省によって定められた義務であるという点に注意が必要です。

令和4年4月1日から、建築物等の解体・改修工事を行う施工業者は、大気汚染防止法に基づき当該工事における石綿含有建材の有無の事前調査結果を都道府県等に報告することが義務づけられます。報告は、厚生労働省が所管する石綿障害予防規則に基づき、労働基準監督署にも行う必要があります。
引用：環境省「報道発表資料」

なお、報告義務があるのは解体業者です。ただし費用の支払いが発生することから、依頼者側もしっかりと理解しておくべきでしょう。

アスベストの危険性

アスベストが使用された建物は、あらかじめアスベストの除去作業をしたうえで解体工事を実施しなければなりません。しかし、なかには「二度手間を踏むくらいなら、まとめて解体するほうが楽なのでは？」と感じる人もいるでしょう。

確かに調査・除去・解体という手間を踏む必要がありますが、これにはアスベストが危険な物質であるという理由が関係しています。

まずアスベストは繊維状の細かい建材のまとまりであるため、除去しないまま解体工事を始めると、アスベストの繊維が空気中に飛散してしまうのが問題です。アスベストは発がん性の物質であることから、吸入してしまうと、次のような病気を引き起こす恐れがあります。

• 肺がん
• 悪性中皮腫
• アスベスト肺

解体した建物のまわりに住む人たちにも影響が及ぶことから、現在は労働安全衛生法や大気汚染防止法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律などで解体前の確認が義務付けられています。

アスベスト解体の費用目安

まずアスベストが建材として利用されているのか調査する費用は、2.0～5.0万円程度に収まると言われています。

このとき、アスベストが建物に含まれているという場合には、追加でアスベスト解体の費用を支払わなければなりません。参考として、国土交通省が公開している一般的な工事単価をまとめました。

アスベストを処理する面積	除去にかかる費用
300㎡以下	2.0万～8.5万円/㎡
300～1,000㎡	1.5万～4.5万円/㎡
1,000㎡以上	1.0万～3.0万円/㎡

出典：国土交通省「アスベスト対策Q&A」

ただ実際には、アスベストが使用されている部分によって解体費用が異なります。目安価格を整理しているので、ぜひ参考にしてみてください。

【費用目安1】屋根・瓦

屋根や瓦にアスベストが含まれている場合には、2.0万～2.5万円/㎡ほどの金額がかかります。参考として、面積ごとの目安金額を整理しました。

工事面積	除去にかかる費用
50㎡	100～125万円程度
100㎡	200～250万円程度
200㎡	400～500万円程度

【費用目安2】外壁

外壁の建材にアスベストが使用されている場合には、およそ2.0万～8.0万円で除去・解体が可能です。以下に目安金額をまとめました。

工事面積	除去にかかる費用
50㎡	100～400万円程度
100㎡	200～800万円程度
200㎡	400～1,600万円程度

【費用目安3】内壁・配管

内壁や配管まわりにアスベストが使用されている場合には、約1.0万～6.0万円で除去・解体が可能です。以下に目安金額をまとめました。

工事面積	除去にかかる費用
50㎡	50～300万円程度
100㎡	100～600万円程度
200㎡	200～1,200万円程度

【費用目安4】天井・柱・梁

天井・柱・梁まわりにアスベストが使用されている場合には、約1.0万～8.0万円で除去・解体が可能です。以下に目安金額をまとめました。

工事面積	除去にかかる費用
50㎡	50～400万円程度
100㎡	100～800万円程度
200㎡	200～1,600万円程度

なお、アスベスト解体の費用を考えるときに注意したいのが「建物の複数箇所にアスベストが使用されているケース」です。箇所数が多く、面積が広い建物ほどアスベストの除去に高額な費用が発生すると覚えておきましょう。

アスベスト解体の流れ

解体工事を実施する際には、必ずアスベスト調査からスタートしなければなりません。具体的な解体工事の流れを以下に整理しました。

1. アスベストの事前調査を実施する
2. 解体業者から施工計画を作成してもらう
3. 近隣の住民へ挨拶をする
4. アスベスト除去を実施する
5. 行政への報告が行われたのちに解体工事をスタートする

アスベストの事前調査～解体スタートまでにかけての期間は、短くとも1ヶ月以上かかります。アスベストの除去面積が広いほど、解体をスタートできるまでの期間が長くなりやすいことに注意してください。

アスベスト解体時の近隣対策

アスベストが使われた建物を解体する際には、近隣トラブルを防止するために、次のような対策を行いましょう。

• アスベスト除去・解体の日程を伝えておく
• 当日の洗濯物を控えるようにお願いする
• 当日に屋外で子供が遊ばないように説明しておく

アスベストを除去する際には、工事業者が飛散防止剤を撒いたり、防塵・防音シートを解体する家のまわりに設置したりと、万全な状態で工事をスタートします。ただ、もしもの場合に備えることが大切です。

近隣住民との円滑なコミュニケーションの意味もかねて、工事を開始する半月前には情報を共有しておくのが良いでしょう。

アスベスト解体費用は補助金を利用できる

解体時に発生するアスベストの事前調査・除去にかかる費用は、建物の規模が大きいほど高額になりやすいと言われています。そこで覚えておいてほしいのが、アスベスト解体費用は、その一部を補助金でまかなえるということです。

参考として以下に、近畿エリアで利用できる補助金の例をまとめました。

• 民間建築物吹付けアスベスト調査・除去補助制度｜大阪府
• 住宅・建築物に関するアスベスト対策｜兵庫県
• 京都市吹付けアスベスト除去等助成事業｜京都府京都市
• アスベスト対策｜奈良県
• 民間建築物アスベスト含有調査事業費補助について｜滋賀県大津市
• 石綿健康被害救済給付｜和歌山県

なかには、数十万円の費用を自治体が補助してくれる場合もあります。少しでも費用負担を減らしたいという方は、ぜひ補助金制度を活用してみてください。

アスベスト解体の悩み相談はまかせてあんしん解体がおすすめ

解体工事の前に必要となる「アスベストの事前調査」、そしてアスベストが使用された建物で必須となる「アスベスト除去工事（アスベスト解体）」は、解体を検討している人たちの負担になりやすい工事作業です。

もし自宅がアスベスト解体の対象なのか、いくらかかるのかと不安を感じている方は「まかせてあんしん解体」にご相談ください。大阪・兵庫・京都・奈良・滋賀・和歌山を中心に、建物の解体をサポートしています。